AttilaTaroの日記

その日聴いた音楽などの記録

2022年ベスト

順不同です。昨年はTop10だったものの、別に10におさめる必要もないので13個です。

 

1. Terminal Nation & KRUELTY / The Ruination of Imperialism

米国アーカンソー州デスメタルバンドと東京のハードコアバンドKRUELTYのスプリット。OSDMムーブメントにも通じるようなTerminal Nationの脳天直下のサウンドは中毒性がある。2曲目の「Sacrificial Capital」は今年のデスメタル界におけるベスト曲。KRUELTYは2020年のアルバムも素晴らしかったが今回も安定感が凄い。

 

2. SATORU / GANGSTAR

世界のドリルラッパーSATORU。最初聴いた時は後半3曲のメロウさが意味不明だったが本人がMAKAのYouTubeで言っている通り聴いていくうちにこれもアリと思えた。割と「MOLLY」とかもハマって聴いている曲。トラックメーカーも変わりSATORU69とは全く別物のアルバムだが、地元のヤンキーから格闘界の悪役となった今のパブリックイメージ的にも今回の曲の方が合っていると思う。

【最高傑作出来ちまったよ】この男とんでもない次元に行っちまった。。【今回の動画は飛ばさずに最後まで見ていただきたい】SATORU 2nd album GANGSTAR 7/17 release!!! - YouTube

 

3. C.O.S.A. / Cool Kids

前作の「FRIENDS & ME」も最高だったが、パンチラインの強度とビートのクオリティが凄すぎる。ここまでリリックとトラックの雰囲気を一致させられる作品はないと思われる。「5PM」の曲名の通り、アルバム全体に漂う黄昏の空気感と彼のライフスタイルが詰め込まれた歌詞が素晴らしい。POP YOURSで生で観られた時は感動した。

 

4. DIR EN GREY / PHARARIS

今までのDIRのアルバムの中だとサウンド的には割とニュートラルなアルバムの印象で、激し目の曲から歌い系の曲まで幅広く備えている。DIRってこんな感じだよねという不文律が守られているという変わらなさが逆に安心するし、本人もそのことを意識していると思われる。どんどん「DIR EN GREY」の核のみ残してシンプルになっているなと感じる。「13」が個人的には一番好みで、25周年ライブで聴けてよかった。どうでもいいけどドラムのShinyaチャンネルおすすめです。

 

5. 老人の仕事 / 老人の仕事(2nd)

ドゥーム界の異端児。最近のヘビーローテーション。Weed系の洋ドゥームとは一線を画し、簡潔かつ浮世離れした音像は仙人の風格も感じさせる。必殺リフから躍らせる「月世界」がグッド。日本のドゥームといえばこれという世界観に仕上がっていると思う。

 

6. SOILED HATE / Nine Billion Names of Hate

東京のパワーバイオレンスバンドの待望のフルアルバム。2年前くらいから待っていた気がする。オーセンティックなパワーバイオレンスの様式に、近年のビートダウン/メタリックHC通過後のエッセンスを注入したハイブリッドな一作で、サンプリングのセンスも光る。暴力衝動の発散の仕方も巧拙あって、ここまで上手くできると羨ましい。

 

7. YOUNG HASTLE / HASTLE & FITNESS

ヤンハス好きだけどまさかベストに入るほど聴き込むことになるとは思わなかった。2022年新作フルアルバムにして、彼のライフワークである「筋トレ」をテーマにした一大組曲。自分は筋トレ全くしないが、単純に曲のクオリティがずば抜けていてそれだけでも夢中になる。筋トレと一言で言っても各曲で主題が微妙に異なっていて、肩メロンの作り方からドーピングの怖さ、なぜ筋トレをするのか?という永遠の質問への回答など、テーマは多岐にわたる。12曲めのWin or Loseは「自分に向き合う」という主題のもとかなり芯をついている歌詞で、まさかヤンハスの曲で感動するとは思わなかった。

 

8. Hawo Beats / HAWO LAND

これもめちゃめちゃ聴いた。日本のトラックメーカーHawoの名義で、MonyHorseやPETZ、Jin Dogg、JNKMNがラップしている。2021年のモニホのアルバムもそうだが、とにかく彼の浮遊感のあるトラックが癖になるし、客演も全員ハマっていて、一種のコンピレーションとしても楽しめる。15曲36分で、一曲の尺が短くコンパクト、あっさりなのもグッド。こんな良いのにYouTubeで全く再生されていなくて泣いた。

 

9. $uicideboy$ / Sing Me a Lullaby, My Sweet Temptation

今年聴き始めて最ものめり込んだ音楽が$uicideboy$。ルイジアナ州のラップデュオで、あり得ないペースで音源を出しまくっている。特筆すべきはドラッグ、自殺願望を描いた歌詞の鬱屈とした暗さ、攻撃的な音楽性だが、2022年にリリースされたこのアルバムは暗さを内包しつつもその外皮であるサウンドはメロウとなっており、一聴して穏やかな印象を受ける。例えば、リードトラックである「Matte Black」は正直かなりマイルドな音像となっており、そのまま聞き流すことも可能かもしれないが、「I’m 31, still don’t know how to take care of myself, honestly, I’m scared that I might melt」と歌うような鬱屈さは残存しており、一向に気分を明るくさせない。このリリックとサウンドのギャップによって、苦しむ自分を俯瞰で遠いところから眺めるような不思議なメタ視点が感じられ、音楽自体の独特な浮遊感に繋がっており、それこそが中毒性を生む要因なのだと思わせる。栄光も苦痛も「Ashes of Luxury」のようにいつか消え去るものであって、それらを超越して生きている感覚がこのアルバムに表れている。

 

10. $uicideboy$ & Germ / DIRTIESTNASTIEST$UICIDE

$uicideboy$の制作意欲は旺盛であって、一年に20曲もの楽曲が作られる。こちらは年の瀬に出た、共作の7曲入りEP。上記のアルバムとは打って変わってバチバチに不穏さを際立たせた攻撃的な楽曲が並んでいるのが嬉しい。イントロで神曲確定、細かいところに気持ちの良いフックを散りばめた「Champagne Face」も素晴らしいし、「The Serpent and the Rainbow」ので出しのAKIRAみたいなミニマルな音には衝撃を受けた。

 

11. SWARRRM & kamomekamome / SK split

柏の伝説的ハードコアバンドカモメカモメと、神戸のスーパーグラインドコアバンドSWARRRMのスプリット。kamomekamomeは2013年の「BEDSIDE DONORS」以来なので9年ぶりの新曲ということになるが、2曲とも凄すぎる。個人的に、「Happy Rebirthday to You」以降のアルバムは、好きなのだけど音像がハードコアに寄り過ぎている感が気になっていたが、今回はパワーのあるサウンドはそのままに「ルガーシーガル」期のリフがより押し出されたような音に仕上がっていて理想的だった。

 

12. Angry Son / Pranks for the Memories

東京の激情HCバンド。ツインギターの織りなすリフの圧倒的センスと曲構成の作り込まれ方が凄い。また、これまでの作品と比べるとリズム隊の音の重量感が増していて、より重厚な音像になっているのも雰囲気に合っていると思う。2曲目の「Transmit Failure」のコーラスが泣ける。

 

13. Gensenkan / skramz2022

4曲目の「Tomorrow」はめちゃくちゃ良い曲だと思います。

 

以上

 

$uicideboy$のように、衝撃を受けるような音楽があってよかったです。こういうのが毎年あれば良いなと思います。